逃げ

　たまに怖いと言われます。それが見た目なのか、低い声なのか、それとも怖い、怖いと言いつつも、本当は私のことが好きで、好きで仕方がない、いわゆる落語の饅頭怖いみたいなノリなのか。そのあたりは正直分かりかねますが、こう見えて私はフランク長い、もとい、フランクはかなり短いほうなのでこれは間違いです。フランク永井よりもフランクな人間なので私をどこかで見つけたらいつでもお気軽にお声掛けください、調子がいいときならシンナーの緑茶割りをご馳走しますからと言いたいのですが、フェアリン以外の若い女性と歩いているときやグランドハイアットのロビーで見掛けたときなどはそっとしておいてください。誤解を招きますので隠し撮りした写真をどっかに上げるような真似もしないでください…って、のっけからなにを言っているんだ俺は。

※4枚目の西、安牌

　話を戻しましょう。私がフランクであることを知っている方、逆に私のことをまったく知らない1パチ海の常連の方などは割とよく声を掛けてくださいます。私が皆様に生かされている点を踏まえればたとえ十万負けを喫していたとしても、生理二日目だったとしても、それこそあと十秒でクソが確実に漏れるとしても、満面の笑みでクソ漏らしながら対応させて頂くのが筋だと思います。無論、「中武一日二膳のフォロワー全員ムショ仲間」とか「中武一日二膳は過去に起訴されたことがある」とか、ちょっとだけ、ホントだけちょっとだけ事実に反する失礼なことを言われたら私だってポケットに手を突っ込んでメリケンサックを探しますが、そういう方はレア。きっとシンナーの緑茶割を飲んで酔っ払っているのだろうと考えるようにしています。

※鉄ヲタにはメリケンサックがよく似合う。

　先日、地方のとあるホールに朝イチからお邪魔したときのことです。入場抽選が終わって再整列で並んでいると、私と同い年くらいのオジサンに今日は何を打つのかと聞かれました。初めて行く店なのでこれといった狙い台もないし、どの機種がアツいのかも知れないし、さらに言うなら抽選だって代理店に言われるから仕方なく受けているだけだし、とりあえず『ハナビ』か『クランキー』を打てればという風なことを言ったら、そのオジサン、あろうことかあるまいことかこう言ってきたのです。

「逃げかよ、朝から逃げかよ」

　冗談なのか、本気なのか、そもそも二回言う必要があるのかどうか。そのあたりはよく分かりませんが、開店と同時にからくりサーカスに走ったそのオジサン、あとで一緒に写真を撮ってくれと言われていたので、昼休憩に出る前に店内をくまなく探したら、どういうわけか、どこにもおらず。常連らしき方にオジサンがどこに行ったのか尋ねてみたところ、五万負けてもう帰ったと言われ「逃げかよ、昼前に逃げかよ」と、思わず心の声が漏れてしまいました。

※逃げ（ワードラ）からの逃げ